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2008年02月07日

はてなハイクとかCGMとかコンテンツ運営とかそこらへんの話

 数週間ほどはてなハイクというサービスで遊んでみた感想みたいなものです。
 「はてなハイク」というシステム自体知らない人もいるでしょうからざっくり説明しますと、


 という流れのシステムとなっています。

はてなハイク
http://h.hatena.ne.jp/
※参加するにははてなへの登録(無料)が必要

 でその☆ですが、ハイク投稿のそこかしこに見受けられるのが「☆がつくと嬉しい」「☆を狙って眠れない云々」とかいう呟き。結構なモチベーションとなっているようです。
 ちなみにちょこっとやってみた僕の☆歴ですが、Twitterの方に呟いていたのを引いてみますと、
http://twitter.com/KQZ/statuses/649654692

二週間ほどやってみたはてなハイクの中間数値は45打数30安打69打点。退役状態とはいえ放送作家としてはちょっと寂しい数字だわな

 という状況となっています。ま、こんなもんでしょ。

 はてなハイクに寄せられる投稿内容がどうのこうのというのは置いておくとして、システムとして見てみるとCGMというかコンテンツ製造装置としては非常によくできているのですよね。
 第一ラジオや雑誌の投稿コーナーと違ってユーザーが勝手にお題を出してくれるし、評価も勝手にやってくれる、さらには出てくるキーワードにあわせたGoogle広告が挟みこまれるのでウッハウハ、という装置産業的な手間のかからない優れもの。
 でもね、でもねぇ、というのが今回の本ネタ。

 ずいぶん前にも書いたことがありますが、僕は投稿がメインのラジオ番組の放送作家をやっていたことがあります。
 引き受けた当初は二週間に30枚くらいのハガキ投稿しか来なくて(二週録りだったのです)番組を構成するのに四苦八苦していたものですが、引き受け始めてから半年で500枚程度になり、翌年、その翌年と倍々ゲームで増えて行き、広告屋さん仕事が忙しくなって離れる頃には9,000枚とかいうとんでもない枚数のハガキが来るようなお化け番組になっていました。(FM的に、ですよ。念のため。AMならもっと沢山くる番組はありますし、リクエスト番組やプレゼント絡みだとこれくらいは結構ある数字です)

 どんな事をしたかは詳述しませんが、要は「コーナーの作り方」と「投稿の選び方の基準」の二点が基本です。あとは常連投稿者の育て方や新人さんの引きずりこみ方とかいろいろありますがそこまで書けるかどうか。

 さて、コーナーの作り方に関してですが、まずはなるべく誰でも投稿しやすいようなゆるーいコーナーを考えます。
 はじめの数回はあんまり投稿が来ないので自分で適当なペンネームでネタを書いて紛れ込ませるんですが、その時にちょっとコーナーの本筋から外れるすっとぼけたひねりを見せてあげたりするとかいろいろなテクニックがあるのですがそれはそれとしまして。ちかごろLifehack(笑)とかGDT(笑)とかが大好きな人が「ツッコマビリティ」だとか言って悦にいってるようですが、んなもんさくまあきらさんの時代からもっといえば歌会や連歌の題材決めに溯ることができる古式床しくあったりまえのことなんですがなんだか脱線しているようなのでこの辺にしておきます。
 あと思い出した。mixiと今は亡きGreeは黎明期から入っていたのですが、mixiの初期コミュニティはいちいちタイトルがネタになっていて突っ込みがいのあるものだった一方、Greeの方はSFC○期だとか唾棄すべき糞面白くないものが並んでいて何にも面白みが無かったのでした。恐らくここら辺に後の明暗が出ていたのかもしれません。ちなみにネタタイトルのコミュニティは原田なんとかという人が建てていたものが多かったので「良くわかってるなぁ」とか思ってたものですがあんまり記憶が薄いので適当にしておきます。

 さてさてそして選び方。
 これが難しい。キモ。
 投稿してくれる人は「もしかしたら自分のが読まれるかな/掲載されるかな」とドキドキもので待っているわけですから採用されたときの嬉しさはひとしおでしょう。採用されなかったとしても自分以外の誰かは採用されているわけで、それを腹を抱えて笑えるか頷けるか泣けるかはともかくとして、納得がいくものを選んであげなきゃいけないわけです。
 ですからこちらも真剣にならざるをえないわけで、僕は数千枚のハガキを一枚一枚全部きっちり読んで対応していたのですよね。当時は広告代理店社員と二束のわらじ(もちろん会社からも了承を取ってです。アーティスト社員制度って奴で1号が芥川賞作家で2号が直木賞作家で3号が放送作家というオチw)でしたから、死ぬほど(笑えない)忙しいにも関わらずよくやったと思いますわ。有給まで使ってひたすらハガキを読む読む読む読む。
 なぜ必要かというと、例えば、これだけ沢山の投稿があるとかならず同じネタというのがかぶります。それを一人だけ採用してしまっては同じネタを書いた人が憤ってしまいます。そういう時はちゃんと二つ名前を読んでさしあげねばなりません。(よくお怒りのハガキが来たもんですわさ)
 もっとも当時はメール投稿ではありませんでしたから地方から送ってくる人はどうしても放送日に間に合わなかったりするのですが、数週間に一度はここら辺の事情を説明する時間を取っていました。数秒で納得していただけるのなら安いもんです。
 だから必ず全部一人で読む。これ大切。
 また著しく面白くない=誰でも思いつくネタというのもありまして(はてなハイクで言うところの「犯人はヤス」みたいなやつですか)、たとえば替え歌のコーナーには毎週マジンガーZの替え歌で「♪空に~ そびえる~  黒鉄ヒロシ」というネタが10枚くらい来ていたものでした。もうね、君ら少ないお小遣いで42円(当時)がもったいないだろうと。こういうのも数ヶ月に一回はお蔵だしとしてわざと読んであげて最後に「…って、ぜんぜんおもろない!」と名前をあげて怒ってあげると逆に喜ばれたり… あー、なんだかあまりに些細な話をしてるような気がしてきたのでこれくらいにしときましょ。
 今だとメール投稿だから検索がきくし楽でいいよなぁ…。気楽に投稿するぶん平均レベルは低くなってそうだけども。

 さてさてお次です。
 選考の基準なんですが、コーナーが盛り上がってくると段々とネタが高度になってきてしまいます。これはありがたい傾向なんですが逆に新人さんが入り込めなくなる元凶ともなります。在りし日のとんねるずのオールナイトニッポンとかひどいもんで、何年も聞いていて石橋貴明の高校の同級生の実家が果物屋とかに熟知してないとなんら笑えないという有様だったり、あと今のコサキンとかですか。あ、なんか問題あること書いてます俺?>おがちゃん社長
 大学卒業時に広告屋に入るか放送作家専業になるかで悩んでたときに先輩から言われて100枚のハガキを買ってきて当時の人気があるラジオ番組に軒並み投稿したところ一応すべての番組で採用されたのですが、一番面倒だったのがとんねるずだった、というお話ざんすわ。その時にであった伊集院光さんと数年後にゲームWAVEで再会する… とかいう話はめんどいからやめ。

 もとい。(多いなー)
 簡単に書くと「人気があってもあまりに高度になりすぎたコーナーはいったん廃止」とか「適宜新人さん(小学校低学年さんとか)の投稿を読んであげる」とか言うことをやって、いわばダムの浚渫みたいなことをして長命化を図っていたわけですわさ。あまりにレベルが高いのばっかりだと「参加者」から「お客さん」になってしまって重心がつま先から踵に移動する音が電波越しに聞こえてきてしまうのです。びびびびび・・・
 ま、ここら辺はネットゲームの運営でもおんなじですが長くなるので割愛。

 さて、話をやっとはてなハイクにもどします。
 上述したように投稿系のコンテンツ運営の肝となるはずの「コーナーの作成」と「投稿の評価」を、はてなハイクではすべてユーザーに丸投げしているのがいかにもWeb2.0(死語?)的だなぁ、と思ったりしたわけです。
 恐らくは相互的というか互恵的な☆のやり取りが「投稿の評価」になるのでしょう。
 しかし、一覧性が悪いので(広告を挟む必然から仕方ないのでしょうが)同じネタやコーナー(お題)がごろごろ出てきてしまいます。でもまぁそれはそれでいいのでしょう。そういうもんですから。
 翻って考えてみると、Master of Ceremonyというかゲームマスターたる放送作家不在による一貫性の保持の否定、といえばいいのでしょうかね。そうなると、ログや記憶というものは儚いもので、目に見える範囲に流れる面白さだけになってしまいそうなのですよね。
 ということは、いつまで経っても内容のレベルは上がっていかないのだとも思います。でもまぁそれはそれでいいのでしょう。そういうもんですから。(繰り返し)
 ここら辺は編集者不在のWeblogの現状と同じなのかもしれませんが、身のあるコンテンツとして結実させるには、それ相応の手をかけねばならないんでしょう。こういうところでプロは食っていけるから別にいいのか。(笑)


↓おんなじ様なことを書いてる過去Log

昨日今日に話していた内容
http://www.authenticbar.com/kqz/days/archives/000485.html
ネットコミュニティとラジオ番組とMMORPGとは一本の線で結ばれているというお話
http://www.authenticbar.com/kqz/days/archives/000386.html
「ラジオ番組とネットコミュニティ を読んで」を読んで
http://www.authenticbar.com/kqz/days/archives/000391.html
デバイスと投稿形コミュニティについての話の続き
http://www.authenticbar.com/kqz/days/archives/000392.html
やっと落ち着いたのでちょっと整理
http://www.authenticbar.com/kqz/days/archives/000490.html

 初めて自分でネタ備忘録 カテゴリアーカイブ読んでみたけど意外に面白いな。長いけど。
 いくつかに分けるか。あ、SecondLifeについてもまとめなきゃだったっけか。


投稿者 KQZ : 2008年02月07日 19:01 | [EDIT]

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コメント

筑駒出身者としては「ツッコマビリティ」については譲れないのですよ!

投稿者 忠 : 2008年02月08日 10:30

ツクコマビリティ。
(・∀・)ナルホド!

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